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個人がパーソナルな空間やものを手に入れることは、近代化の一つの目標だった。しかしその功罪として、孤立や孤独の問題が顕著になってきた。この問題は、自殺率の増加や犯罪の発生など、様々な問題の要因になっているといえる。現代は情報技術によって考えやデータを共有することが容易になり、場所を越えて人々がつながる状況が生まれている。それは建築や都市がパーソナルな空間をつくってきたことと同様に、パーソナルなデバイスを通じたインターネット上で完結してきた。

しかしこのような状況の中で、場所を共有し、新しい公共的空間をつくる動きが出てきている。そのようなシェアスペースの多くで小さなコミュニティが育まれているが、そこで重要となるのがガバナンスである。いかにその空間を持続可能的に、かつ良好な状態で機能させるか。それは建築の力だけではどうにもならないものであり、そこでの運営者の力が重要になるのである。それは近代建築の終わりとも言われたプルーイット・アイゴー団地の解体が象徴的なように、どのような運用が想定され、それに対して建築がどのようにコミットできるかという可能性を模索する必要がある。

設計の段階から運営や経営に関わることで、既成の用途に捉われずに場所の共有や体験の共有ができるプログラムと空間をセットで提案すること。場所の利用効率と持続可能性を高めると同時に、ある特定のテーマによって形成される小さなコミュニティが生まれやすい空間が現代に必要となる空間なのである。建築だけで様々な問題全てを解決することはできないかもしれないが、運営や経営にコミットする方法をとることによって、持続可能な建築や、より健康な社会をつくることができるのではないかと考えている。